【最後のマクドネル・ダグラス】ハワイアン航空のボーイング717に乗ってきた ホノルル→カフルイ

こんにちは。
本日は2023年1月4日、ハワイ、オワフ島のダニエル・K・イノウエ国際空港に来ています。
今日はこれからハワイアン航空に乗って、マウイ島へ向かいたいと思います。
今回は、ハワイアン航空のハワイ諸島内路線、ホノルル発カフルイ行のフライトの様子をご紹介します。

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ハワイアン航空専用ターミナルから出発!

現在私がいるのは第1ターミナルで、ここはハワイアン航空の専用ターミナルとなっています。

ハワイアン航空以外のほとんどの航空会社は、第2ターミナルを使用しており、第3ターミナルはブッシュプレーンを運航するモクレレ航空が使用しています。

保安検査場を通過し搭乗口までやってきました。

アメリカの国内線は日本国内線とは違い、身分証明書の提示が必ず必要です。
外国人の場合はパスポートでOKですが「国内線だから」と思って忘れると飛行機に乗れないので注意が必要です。

今回の搭乗機はこちら、ボーイング717-200、機体記号N479HAです。

非常に珍しい「ボーイング717型機」ですね!

会社合併で生まれたボーイング717

ボーイング737やエアバスA320など、多くの旅客機は主翼の下にエンジンを吊り下げていますが、717は胴体後方にエンジンを配置する「リアエンジン」形式をとっています。

日本でも、アイベックスエアラインズが運航しているCRJ700がリアエンジン形式の飛行機です。

ボーイング717は、マクドネル・ダグラス社が「MD-95」として1990年代後半に開発した飛行機で、1997年にマクドネル・ダグラスがボーイングに吸収合併されたことで、ボーイング717の名称が与えられました。

ボーイング717、もといマクドネル・ダグラスMD-95は、1960年代から開発されてきたDC-9シリーズの改良型で、基本的な設計思想はDC-9から変わっていないので、見た目も非常に似ていますよね。

搭乗開始!

搭乗が開始されました。

ハワイアン航空の717には、ビジネスクラスが8席、エコノミークラスが120席設定されています。
エコノミークラスは3席-2席の配列になっており、737やA320の3席-3席の配列より1席少ないですね。

リアエンジンの飛行機に乗る時は、主翼とエンジンの間の席を選ぶと楽しいと思います。

今回の私の座席番号は「24F」になります。

この席は最後列というわけではなく、私の後ろにも3列くらい座席があります。

この便の搭乗率は90%くらいでした。

プッシュバック中には、エンジン始動の様子も見えました!

ホノルル-カフルイ線は高需要路線!中途半端な時刻設定の謎!

ホノルル-カフルイ線は、ハワイ諸島路線で一番利用者数が多い路線で、ハワイアン航空だけで1日約20往復も運航されています。
この路線にはハワイアン航空以外に、LCCのサウスウエスト航空も乗り入れており、サウスウエスト航空便は1日6往復ほど運航されています。
2社合わせて30往復弱ということで、運航本数だけでいうと、羽田-伊丹線と同じくらいですね。

今回の便は朝7:25発8:06着、所要時間41分となっています。
「8:06着」と半端な時刻が設定されている理由は、私もよく分かりません。
日本や欧州では、飛行機のスケジュールは5分刻みで設定されているんですが、アメリカはなぜか1分刻みなんですよね。
アメリカでは学校の時間割とかも1分刻みらしいので、根本的な文化の違いがあるのかもしれません。

マクドネル・ダグラス 伝統の非常脱出口

こちらがこの機体の安全のしおりです。
興味深いのはこのイラスト、©の非常口は、尾部のテールコーンを離脱させてそこから脱出するよう書いてあります。
MD-80やMD-90の非常口と一緒ですね。

MD-80の映像ですが、実際にこんな感じで作動します。

ハワイアン航空が717の最後のオペレーターか?!

マクドネル・ダグラスがボーイングと合併した1997年、マクドネル・ダグラスが発注を受け付けていた旅客機は、MD-11・MD-80・MD-90・MD-95の4機種でした。
これらの機体はどれも、当時ボーイングが販売していた旅客機の中に競合機種が存在していたため、合併後すぐにボーイングは、旧マクドネル・ダグラス機の新規受注を停止する方針を決めました。

MD-11、MD-80、MD-90の3機種についてはそれで特に問題は生じなかったんですが、MD-95については、生産が始まっていないどころか開発途中の状態だったので、MD-95を発注していた航空会社(まあ1社しかいなかったんですが)に、737への発注切り替えを要請して開発中止にしようとボーイングは目論んでいました。
しかしMD-95を発注していたその1社、「エアトラン」が、発注切り替えを固辞したため、MD-95はボーイング717として開発が続行されることとなったのです。

わざわざ資金を投じてボーイング717を開発することが決まったこと、また717は737より短距離運航時の経済性に優れており、ギリギリ棲み分けが可能だったことから、717に関しては新規の受注もしばらく受け付けることになりました。

ハワイアン航空では、2001年に717を13機導入しており、今日の搭乗機N479HAもその1機です。
その後中古機として8機追加導入、計21機の内2機は既に退役しているので、現在の在籍数は19機となっています。

717は、中古機での運航も含めると世界の20ほどの航空会社で運航されましたが、現在も運航しているのは、ハワイアン航空とデルタ航空、カンタスリンクのみです。
デルタ航空では、現在54機の717が運航されていますが、2025年までに全機退役することが発表されています。
またカンタスリンクでも2023年中の退役が発表されています。
ハワイアン航空では今のところ、717の完全退役に関する情報は出ていないので、ボーイング717最後のオペレーターは、ハワイアン航空になる可能性が濃厚です。

ホノルルから離陸!

エンジンの始動が完了し飛行機はタキシングを開始しました。

ダニエル・K・イノウエ国際空港には、陸上滑走路が4本、水上滑走路が2本あります。
この飛行機は4本ある陸上滑走路の内、RWY08L-26Rを使用して離陸するようです。
この滑走路は現在、滑走路幅の拡張工事が行われており、その関係で使用可能な滑走路長が大幅に短縮されています。
従来この滑走路は長さ3,750m、幅46mだったんですが、幅を61mに拡張する工事を端から順に行っており、現在使用可能な滑走路長は、東側の2,280mとなっています。

飛行機は、ホノルル/ダニエル・K・イノウエ国際空港の、RWY08Lから離陸します。

滑走路の西側はまだ工事が始まっておらず46m幅のままでしたが、東側の区間は既に工事が完了し61m幅になっているので、離陸滑走中に滑走路幅が突然広くなるのが見られました。

滑走路の白いラインに注目すると、左側の画像より右側の画像の方が滑走路幅が広いのが分かりやすいと思います。

離陸しました。

ホノルルの市街地上空の飛行を避けるため、右旋回し海岸線に沿って飛行します。

飛行機は水平飛行に移行しました。
こちらは機内サービスのコーヒーです。

ハワイアン航空の歴史

今回乗っているハワイアン航空は、1929年に設立された歴史の長い航空会社ですが、国際線の定期運航を始めたのは2008年で、割と最近のことです。

日本へは現在、羽田成田関西の3空港に就航しています。
また2023年4月からは、運休していた福岡線も再開するそうです。
コロナ前はこれに加えて新千歳にも就航していたので、今後また再開するものと思われます。

機材については、エアバスA330-200を24機、エアバスA321neoを18機、ボーイング717を19機運用しています。
A330-200が長距離用、A321neoが中距離用、717が短距離用と、綺麗に役割分担されています。

ハワイアン航空が今後導入予定の機材としては、A330-200置き換え用のボーイング787-9があります。
A330-200の置き換えには、互換性の高いA330-800の導入が始めは検討されていましたが、
ボーイングとエアバスの激しいマーケティング競争の結果、2018年に787-9の導入が決定されました。
この背景には、ボーイングによる機材価格の大幅な割引や、機種移行支援プログラムの提供、また、当時ハワイアン航空が手放したがっていたボーイング767を引き取るなどのマーケティング努力があったようです。
787-9は2023年後半からハワイアン航空への納入が始まる予定です。

ハワイアン航空には2021年まで、ATR42を運航する「オハナ」という子会社が存在していました。
オハナは、JALグループでいう琉球エアーコミューターみたいな立ち位置で、717が就航できない小さな島に乗客や貨物を運んでいました。
コロナにより運航停止となってしまいましたが、運航していた路線はモクレレ航空などに引き継がれています。

カフルイ空港へ着陸!

離陸後25分くらいで、飛行機は降下を開始しました。

間もなくマウイ島のカフルイ空港RWY02に着陸します。

カフルイ空港には、2,130mと1,520mの2本の滑走路があり、基本的には長い方のRWY02-20で離着陸が行われています。
長いといっても、カフルイ空港には777-200ERも就航しているので、2,130mでは少し心もとないですよね。

将来的には南へ滑走路を伸ばして、2,600mにする計画があるみたいです。

着陸し、タイヤブレーキと逆噴射で減速します。

カフルイ空港はダニエル・K・イノウエ国際空港に次ぐ、ハワイで2番目に旅客数の多い空港で、2019年の旅客数はダニエル・K・イノウエ国際空港が1,000万人、カフルイ空港は360万人でした。
ちなみに3番目に多いのは、ハワイ島のコナ国際空港で2019年の旅客数は180万人でした。

コナ国際空港にはJALやハワイアン航空による日本路線がありますが、カフルイ空港にはありません。
これは、カフルイ空港には入出国審査などを行う通関設備が無いためです。
そのため、カフルイ空港発着路線のほとんどはアメリカ国内線ですが、カナダからの季節便も、例外的に何便か設定されています。
これらの便ではカナダの出発空港に設置された、アメリカ事前通関設備を使用することで就航を可能にしています。

現在カフルイ空港では、設備を改良することでカナダや日本との定期便を開設させる計画が進行中です。
日本からの直行便が将来カフルイ空港に就航する日も近いかもしれません。

ターミナルに到着しました。

今回の記事では、ハワイアン航空のハワイ諸島内路線、ホノルル発カフルイ行のフライトの様子を紹介しました。

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