一般的には、オリジナルのデザインで製品を作れるという点で注目されることが多い3Dプリンターですが、材料をカスタマイズして個性的なグッズを作れるのも大きな魅力ですよね。
なかなか売っていない「抗菌・ウイルススマホケース」
そこで今回は3Dプリンターを使って、オリジナルのスマホケースを「抗菌・ウイルス素材」で作りたいと思います!
というのも、抗菌・抗ウイルス素材で作られたスマホケースってあまり売ってないんですよね…
スマホは一日中触っているものなので雑菌やウイルスが付きやすいというのは有名な話で、トイレの便座より汚いとも言われます。
スマホケースを抗菌・抗ウイルスにすることで、少しでも手を綺麗に保ちたいと思います!
スマホケースのデータを準備する
まずは、スマホケースの3Dデータを準備します。
私のスマホはiPhone XSなので、そのサイズに合うデータを準備する必要があります。
インターネットで「iPhone XS case 3Dmodel」と検索して、良さそうなのを選びます。
3Dプリンターで作りたいものがあるときは、Googleで「(作りたいもの) 3D model」と検索すれば大体ヒットしますね。
無料で使える3Dデータを見つけたので、今回はこちらを使わせていただきたいと思います。
抗菌・抗ウイルス特性があるフィラメントを購入
抗菌・抗ウイルス特性があるフィラメントを探して、購入したいと思います。
今回はスマホケースを作るので、ある程度柔軟性がある素材が良いですね。
ネットで探した結果、Copper3Dという会社の「MD Flex」という柔軟性フィラメントを見つけました。
Copper3Dは、3D印刷業界向けの抗菌材料の開発を専門とする、アメリカとチリの会社だそうです。
このフィラメントは、米国、英国、フランス、チリ、ドバイの微生物学研究所で確認された抗菌特性を有しているそうです。
また抗ウイルス特性についても、フランスの研究所により、1時間以内にコロナウイルスのウイルス量を99.9%減少させる効果も確認されているらしいです。
値段がかなり高く通常のフィラメントの10倍以上しますが、今回はこちらを購入して使用したいと思います。
3Dプリントする(試作)
それでは、実際に3Dプリンターでスマホケースを出力していきたいと思います。
スライサーソフトで3Dデータを、3Dプリンターの出力データにします。
私は「Ultimaker Cura」というスライサーソフトを使用しています。
いきなりMD FLEXを使うのは気が引けるので、まずはTPUという一般的な柔軟性フィラメントで試作してみて、サイズが合うかなどを確認したいと思います。
ちなみに私が使っている3Dプリンターは、ANYCUBIC MEGA Xという製品です。
30cm×30cm×30cmというかなり大きなサイズまで造形できるので、気に入っています。
造形には約4時間かかりました。
PLAなどの硬い素材だと半分くらいの時間でできるのですが、柔らかい素材で作る時はゆっくり造形しないとどうしても上手くいきません。
できました!
サイズ感はぴったりで、電源ボタンや充電コネクタの部分も問題なく使えそうです。
ただプリンターのヒートベッドに接触していた面に、茶色く変色している部分が見られたのでここは改善したいですね。
というわけで、もう一度試作を行います。
見たところ、変色の正体はフィラメントの焦げとヒートベッドの汚れです。
変色が起こっていたのはヒートベッドと接触していた面のみだったので、2回目の試作ではスマホケースの前に薄い板を造形することにします。
できました!
ケースの前に薄い板を造形したことで、1回目の試作より造形時間とフィラメント消費量が増えましたが、変色の問題は解決することができました。
左:試作1回目 右:試作2回目
3Dプリントする(本番)
では、いよいよ本番です。
抗菌・抗ウイルス効果のあるフィラメント、MD FLEXを使ってスマホケースを出力します。
できました!
TPUで上手くいったからと言ってMD FLEXも同じようにできるかは分からなかったんですが、十分な出来栄えです。
局面部分に一部、素材がほつれてしまっている箇所がありましたが、使用に問題はなさそうです。
完成してびっくりしたんですが、このフィラメントは凄く美しい色をしてますよね。深みのある綺麗な青色です。
まとめ
今回は、オリジナルのスマホケースを、抗菌・抗ウイルス素材で作ってみました。
スマホケース以外にも、日常的によく触るものをMD FLEXで作ると感染症対策などに効果がありそうですね。
MD FLEXの抗菌・抗ウイルス特性については、複数の研究所で効果が確認されているとのことですが、培養実験を行うことでその効果を確認するのも面白そうですね。